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MBO等に際してのバリュエーションに係る適時開示規則の改正
株式会社アミダスパートナーズ
2013/8/1

1. はじめに

 2013年7月8日に公表された適時開示規則の改正により、MBO(公開買付者が対象会社の役員である場合の公開買付け)を行う場合や、支配株主等が買付者となる公開買付けを行う場合の開示内容が拡充されました(2013年10月1日から適用)。

 従前から、上場会社が上場廃止を伴う公開買付けを受ける場合や支配株主から公開買付けを受ける際等には、上場会社は意見表明に際して第三者算定機関から算定書を取得し取引所に提出することが求められていましたが、取得した算定内容を開示するにあたっては、これまでは採用した算定方法と算定結果、その方式を採用した理由を記載すれば足りていました。しかし本改正後は、類似会社比較法であれば選択した類似会社と選定理由やマルチプルとして採用した指標等、DCF法(ディスカウンテッド・キャッシュフロー法)であれば、前提とした財務予想の具体的な数字や割引率、ターミナル・バリューの算定方法と採用した数値等の具体的な算定方法を開示することが求められることとなります。

 これらはこれまで、少なくとも日本では、一般に開示されることがほとんどなかった情報であり、実務への影響は小さくないものと思います。

 本稿では、本改正後の規則について概観し、また以前からこうした情報が開示されていた米国での開示事例等をご紹介したいと思います。

2. 改正の内容

 MBO又は支配株主等による公開買付けに際して上場会社が意向表明を行う場合や支配株主等との間で組織再編を行う場合等(以下、「MBO等」といいます。)、大株主や会社役員と少数株主の間に潜在的な利益相反の可能性がある取引を対象として、適時開示資料に記載すべき内容が改正されます。改正の理由について、東京証券取引所は2013年7月8日付「MBO等に関する適時開示内容の充実等について(東証上会第752号)」の中で、「当取引所では、MBO等に関する意見表明等を行う場合及び支配株主その他施行規則で定める者との間の組織再編を行う場合に関し、利益相反構造及び情報の非対称性が存在することから、平成18年に開示の充実に関する要請を行い、また、平成21年には必要かつ十分な開示を行うことを企業行動規範の内容として定めております。このたび、平成18年以降の事例の集積を踏まえ、これらの行為を行う場合に適時開示資料に記載すべき内容のうち、算定の内容に関し、より充実した説明を求めることとし、その他記載すべき内容の明確化を図ることとしました」と説明しています。

 具体的には、MBO等にあたって意見を表明する場合に第三者算定機関から取得した算定書の内容について開示すべき内容について特に大きな変更がなされており、「公開買付け等に関する意見表明等」の場合の「3.当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由

1.今回の改正で、取引所に提出する算定書に記載すべき内容についても、より具体的に規定されました。

(3)算定に関する事項 ②算定の概要」に係る開示・記載上の注意事項は、以下のように改正されました。

改正後
改正前
3.当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由(3)算定に関する事項②算定の概要 2.当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由(1)算定の基礎
〔MBO等に関して意見表明を行う場合〕

・ MBO等に関して意見表明を行う場合には、算定の重要な前提条件として、上記の(*)に代えて、市場株価法、類似会社比較法及びディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法については、以下の内容を含めて記載する。その他の算定手法については以下の内容に準じて重要な前提条件を記載する。
① 市場株価法
・算定基準日、計算対象期間及び算定基準日が算定書作成日当日又はその前営業日でない場合には、当該日を基準日とした理由
・計算方法(終値単純平均か加重平均かの別)
・その他特殊な前提条件がある場合には、その内容
② 類似会社比較法
比較対象として選択した類似会社の名称及び当該会社を選択した理由
マルチプルとして用いた指標(EV/EBITDA、PER、PBRなど)
・その他特殊な前提条件がある場合には、その内容
③ ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法
算定の前提とした財務予測(各事業年度における売上高、営業利益、EBITDA及びフリー・キャッシュ・フロー)の具体的な数値
※ 上場維持を前提とする場合を除く。
算定の前提とした財務予測の出所
算定の前提とした財務予測が当該取引の実施を前提とするものか否か
・算定の前提とした財務予測で大幅な増減益を見込んでいるときは、当該増減益の要因
※ 上場維持を前提とする場合は、算定の前提とした財務予測で大幅な増減益を見込んでいるときはその概要(計数を含む。)及び増減益の要因を記載し、算定の前提とした財務予測で大幅な増減益を見込んでいないときはその旨を記載する。
※ 「大幅な増減益」に該当するかどうかについては、各当事会社の当該公開買付け実施後5事業年度のいずれかにおいて、各々の前事業年度と比較して、利益の増加又は減少見込額が30%未満であるか否かを目安とする。
割引率の具体的な数値(レンジ可)
継続価値の算定手法及び算定に用いたパラメータの具体的な数値(レンジ可)
・その他特殊な前提条件がある場合には、その内容
〔MBO等に関して意見表明を行う場合の「意見の根拠及び理由」の開示事項及び開示・記載上の注意〕

・株式価値の算定の概要(*1、*2)を含め、株主に対して当該買付け等に応募することを勧めることが妥当であると判断するに至った根拠についてわかりやすく具体的に記載する。
(*1)具体的な算定方式、当該算定方式を採用した理由及びそれに加えて、主として用いた算定方式がある場合にはその旨及び当該算定方式を主として用いた理由を記載する。算定結果の数値については、わかりやすさの観点から、できる限り評価額を記載する(特に、業績又は株価が大幅に変動している場合)。
(*2)①市場株価法を用いた場合は、市場価格の計算対象期間及び当該機関を用いた理由を記載する(特に、市場株価法による算定結果から乖離している場合には、その理由をわかりやすく説明する。)。また、②ディスカウント・キャッシュ・フロー法を用いた場合であって、買付け等の価格の算定の前提とした利益計画で大幅な増減益を見込んでいるときは、前提とした利益計画の概要(計数を含む。)と増減益の要因(大幅な増減益を見込んでいないときは、その旨)など算定の前提条件を記載する。
(注)「大幅な増減益」に該当するかどうかについては、各当事会社の当該公開買付け実施後5事業年度のいずれかにおいて、各々の前事業年度と比較して、利益の増加又は減少見込額が30%未満であるか否かを目安とする。

 以上のとおり、改正後の適時開示規則はこれまでより、かなり具体的な内容を開示することを求めています。

3. 米国での開示事例

 改正後の適時開示規則に従って具体的にどのように記載するのかを検討するにあたっては、米国での開示事例も一つの参考になるのではと考えています。従前から米国では算定内容の詳細な前提についての開示が求められているためです。

 日本企業であっても、ニューヨーク証券取引所に上場している場合や、一定以上の米国人株主がいる上場企業は、組織再編を行うに際して米国SECへ開示資料の提出が要求される場合があり、その中には組織再編にあたって取得した第三者算定機関の算定書の内容が開示されているものもあります。

 本稿では、トヨタ自動車が株式交換によって関東自動車工業を子会社化した際の開示事例を以て米国での開示内容を以下のとおり見て行きたいと思います。本件はトヨタ自動車が米国SECにフォームF-4を提出しており、株式交換比率の決定にあたって関東自動車工業が三菱UFJモルガン・スタンレー証券から取得した算定書とフェアネス・オピニオンの算定内容がフォームF-4の中で開示されていますので、三菱UFJモルガン・スタンレー証券による算定内容について開示している部分のみ抜粋してご紹介します(本件ではトヨタ自動車が野村證券、関東自動車工業が三菱UFJモルガン・スタンレー証券をフィナンシャル・アドバイザーとして起用)。

 日本のこれまでの適時開示規則に従った、第三者算定機関による算定内容についての開示内容は以下のとおりです。

[日本での開示]
2011年7月13日付『「トヨタ自動車株式会社による関東自動車工業株式会社の株式交換による完全子会社化」及び「関東自動車工業株式会社、セントラル自動車株式会社、トヨタ自動車東北株式会社の統合協議」について』7-8頁2

 三菱UFJモルガン・スタンレーはトヨタ自動車については、トヨタ自動車株式が金融商品取 引所に上場しており、時価総額が大きく取引市場での流動性も高いことから、市場株価分析により十分に適正な結果が得られると判断されたため、主として市場株価分析(平成23 年7 月11 日を算定基準日として、東京証券取引所市場第一部における、算定基準日、算定基準日までの直近1週間、1ヶ月間及び3ヶ月間の各取引日の終値を算定の基礎としています)を採用して算定を行いました。関東自動車工業については、関東自動車工業株式が金融商品取引所に上場しており、市場株価が存在することから市場株価分析(平成23 年7 月11 日を算定基準日として、東京証券取引所市場第一部における、算定基準日、算定基準日までの直近1週間、1ヶ月間及び3ヶ月間の各取引日の終値を算定の基礎としています)を、また比較可能な上場類似企業が複数存在し、類似企業比較分析による株式価値の類推が可能であることから類似企業比較分析を、加えて将来の事業活動の状況を評価に反映させるため、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー分析(以下、「DCF分析」といいます。)による算定を行っております。
 トヨタ自動車株式の1株当たりの株式価値を1とした場合の評価レンジは、以下のとおりとなります。


 三菱UFJモルガン・スタンレーは、上記株式交換比率の算定に際し、両社から提供を受けた情報及び一般に公開された情報等を原則としてそのまま採用し、それらの資料及び情報等が、全て正確かつ完全なものであることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っておりません。また、両社とそれらの関係会社の資産及び負債(簿外資産及び負債、その他偶発債務を含みます)に関して独自の評価・査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりません。加えて関東自動車工業の財務予測に関する情報については関東自動車工業の経営陣により現時点で得られる最善の予測と判断に基づき合理的に作成されたことを前提としております。三菱UFJモルガン・スタンレーの算定は、平成23 年7月11 日までの上記情報を反映したものであります。

 なお、三菱UFJモルガン・スタンレーは、下記3.(5)「公正性を担保するための措置」に記載のとおり、関東自動車工業の取締役会からの依頼に基づき、上記の前提条件その他一定の前提条件のもとに、本株式交換比率が、関東自動車工業の支配株主等(東京証券取引所有価証券上場規程第441 条の2及び同施行規則第436 条の3にいう「支配株主その他施行規則で定める者」をいいます。)を除く、関東自動車工業の株主にとって財務的見地から妥当である旨の平成23 年7月12 日付の意見書(フェアネス・オピニオン)を関東自動車工業の取締役会に提出しております。

 DCF法による算定の基礎としてトヨタ自動車が野村證券に提出した利益計画には大幅な増益または減益を見込んでいる事業年度があります。これは、本年3月に発生した東日本大震災の影響を見込んでいるためです。

 また、DCF法/DCF分析による算定の基礎として関東自動車工業が野村證券及び三菱UFJモルガン・スタンレーに提出した利益計画には大幅な増益または減益を見込んでいる事業年度があります。これは、本年3月に発生した東日本大震災の影響及びコスト削減による業績改善を見込んでいるためです。

 同じ取引に係る、米国での開示内容は以下のとおりです。なお、改正後適時開示規則の中で新たに開示が求められることになった開示内容にあたる箇所等を、黄色でハイライトしています。

2. http://www.toyota-ej.co.jp/images/news_pdf/110713_01.pdf

[米国での開示]
2011年8月31日付でトヨタ自動車によって米SECに提出されたForm F-4 23-25頁3

 Financial Analyses of Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities
 The following is a brief summary of the material financial analyses performed by Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities in connection with the preparation of its written opinion letter dated July 12, 2011. The following summary includes information presented in tabular format. In order to understand fully the financial analyses used by Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities, these tables must be read together with the text of each summary. The tables alone do not constitute a complete description of the financial analyses. The analyses listed in the tables and described below must be considered as a whole; considering any portion of such analyses and the factors considered, without considering all analyses and factors, could create a misleading or incomplete view of the process underlying Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities’s financial opinion.

3. http://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1094517/000119312511187455/df4.htm

 Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities’s financial analyses consisted of, with respect to Kanto, (i) a historical share exchange ratio analysis, (ii) a comparable companies analysis and (iii) a discounted cash flow analysis, and (iv) a precedent transactions analysis and, with respect to Toyota, a historical share exchange ratio analysis. Detailed descriptions for each analysis are as follows.

 【市場株価法】 Historical Share Exchange Ratio Analysis. Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities reviewed the share exchange ratios of the recent trading performance of Kanto common shares and Toyota common shares using July 11, 2011 as a record date (“Record Date”). In order to calculate the market prices, Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities referred to the Record Date and the periods of one (1) week, one (1) month and three (3) months prior to the Record Date to calculate the share exchange ratio based on Kanto’s and Toyota’s closing stock prices on each of the trading dates during those periods. The share exchange ratios are summarized in the table below.


 【類似会社比較法】Comparable Companies Analysis. Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities reviewed and compared the financial information for Kanto against the corresponding financial information, ratios and public market multiples for the following publicly traded companies that share similar business characteristics with the entire business of Kanto.

【類似会社の名称】Comparable Companies of Kanto
Toyota Auto Body Co., Ltd.
Nissan Shatai Co., Ltd.

【類似会社の選定理由】Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities selected the comparable companies above from among the three major listed auto-body makers in Japan which have businesses similar to Kanto. From these major listed auto-body makers, Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities excluded Yachiyo Industry Co., Ltd. as Yachiyo Industry Co., Ltd.’s primary business is auto parts, while Toyota Auto Body Co., Ltd. and Nissan Shatai Co., Ltd. both focus mainly on auto body.

【マルチプルとして用いた指標】For each of these comparable companies, Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities calculated the ratio of aggregate value, defined as the sum of market capitalization, minority interests and the total debt less cash and cash equivalents including marketable securities, to estimated earnings before interest, taxes, depreciation and amortization, which is referred to as “EBITDA”, for the fiscal years ending March 31, 2012 and March 31, 2013, based on the most recent publicly available information and closing prices as of July 11, 2011.Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities selected representative ranges of financial multiples of the comparable companies as follows.


 Based on this analysis, Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities used the 1 week average price for Toyota common stock ending on July 11, 2011, in order to derive a range of share exchange ratios of 0.131 to 0.233.

  No company analyzed in the comparable companies analysis is identical to Kanto. In evaluating the comparable companies, Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities made judgments and assumptions with regard to industry performance, general business, economic, market and financial conditions and other matters, which are beyond the control of Kanto, such as the impact of competition on the business of Kanto or the industry generally, industry growth and the absence of any material adverse change in the financial condition of Kanto or the industry or in the financial markets in general, which could affect the public trading value of the companies.

 【DCF法】Discounted Cash Flow Analysis. Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities performed a discounted cash flow analysis to estimate a range of present values per share of common stock of Kanto assuming Kanto continues to operate as a stand-alone entity. This range was determined by adding (i) 【前提とする計画期間】 the sum of the discounted net present value of the stream of the unlevered free cash flows of Kanto expected to be generated over the next five years ending March 31, 2016 and (ii) 【継続価値の算定方法】 the discounted net present value of the terminal value, calculated by applying a range of aggregate value to EBITDA multiples to the normalized EBITDA of Kanto for the fiscal year ending March 31, 2016. 【算定の前提とした財務予測の出所】 The financial projections used in the discounted cash flow analysis are based on Kanto’s projections provided by the management of Kanto and 【前提とした財務予測が取引実施を前提とするものか否か】 these financial projections include Kanto’s expected efforts in product development, cost reduction and value improvement of products, but do not contain the synergy from the share exchange. The cash flow stream and terminal value were discounted to present value using a range of discount rates for Kanto, which was chosen by Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities based upon Kanto’s risk characteristics and an analysis of weighted average costs of capital, or WACC.

 Since Kanto’s business is highly reliant on its parent company, Toyota, due to the capital relationship between Toyota and Kanto and Kanto’s majority sales to Toyota, Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities reviewed the historical data to analyze Kanto’s beta and capital structure, in order to calculate the WACC. Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities adopted Barra Beta as the Market Risk Premium, and adopted the yield of the current 10 year Japanese government bond as the Risk Free Rate under the WACC calculation.

  The range of aggregate value to EBITDA multiples for calculation of the terminal values and discount rates applied to Kanto are as follows.

【継続価値の算定に用いたパラメータの具体的な数値/割引率の具体的な数値】


  The respective aggregate values were then adjusted for indebtedness, net of cash and cash equivalents including marketable securities, and minority interests based on the estimated balance sheets as of January 1, 2012.

  Based on this analysis, Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities used the 1 week average price for Toyota common stock ending on July 11, 2011, in order to derive a range of the share exchange ratios of 0.168 to 0.269.

  【取引事例法】Precedent Transactions Analysis. Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities performed an analysis of precedent “Share Exchange Only” transactions in Japan announced since January 2010 where the target company (i) had already been consolidated by the acquiring company and (ii) was turned into a wholly owned subsidiary by the acquiring company. Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities excluded precedent transactions in which a tender offer was followed by a subsequent share exchange. Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities also excluded from the precedent transactions any transactions that were carried out at a discount against the stock price of the target company on the day before the announcement. The precedent transactions analyzed were as follows:


 In connection with this analysis, Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities calculated the premium and discount by comparing the target companies’ predicted stock prices based on the announced share exchange ratio with the stock price of the target company on the day before the announcement, 1 month prior to and 3 months prior to the announcement date, respectively. Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities then calculated the average of premiums from each period for the 30 transactions after January, 2010, and the 9 transactions after January, 2011 listed above respectively. The results of the average are as follows:


 ハイライトした箇所を見て頂ければ分るとおり、適時開示規則の改正で新たに開示が必要になった開示事項の多くについて、米国では既に開示が行われています(また、日本では開示されていなかった取引事例法(Precedent Transactions Analysis)による分析結果も開示されています)。このため、記載すべき事項について、具体的にどのように、又、どの程度まで開示すべきか等の検討にあたっては、米国での開示事例も一つの参考になるとか思います。

 なお、同じくフォームF-4を提出している、パナソニックの三洋電機との株式交換による完全子会社化のケース は、パナソニックと三洋電機の両社についてビジネスライン毎の類似会社や割引率が挙げられており、複数の事業セグメントをもつ会社の算定内容についての開示事例として参考になるかと思います 。5

4. 終わりに

 今回の改正は、通常取得する算定書に当然記載されている項目について開示することが必要になったに過ぎないという意味では、本改正による実務への影響は小さいように思えます。しかしながら、算定の前提となった諸条件が一般に開示されるために、投資家から「他社事例と比較して割引率が高い」であるとか「類似会社の選定が恣意的なのでは」といった問い合わせやクレームを受ける等も起こり得るように思いますし、例えばスクイーズアウトの価格を巡って係争が続いている会社においてDCF評価の前提として開示した利益予想を上場廃止後の会社業績が大きく上回った場合等は、その事実を指してスクイーズアウト時の価格は恣意的に下げられた不当な価格だったとの主張がなされる可能性等もあるように思います。

 そう考えると今後は算定内容の開示を行う上場会社においては、株主対応において価格の妥当性を根拠も含めて理論的に説明するという新たな負荷が生じるとともに、算定書を提供する専門家にとっても、これまで以上に外部からの検証に耐えうる明確な根拠と理論に基づいた算定を行うことが求められることになると考えます。

4. パナソニックの三洋電機との株式交換による完全子会社化(2011年1月12日提出) http://www.sec.gov/Archives/edgar/data/63271/000119312511006420/df4a.htm
5.この他に日本企業が提出した米国フォームF-4で第三者機関の算定内容について詳しい記載がある事例には以下のようなものがあります。
パナソニックのパナソニック電工との株式交換による完全子会社化(2011年1月12日提出)
http://www.sec.gov/Archives/edgar/data/63271/000119312511006408/df4a.htm
新日本石油と新日鉱ホールディングスの共同株式移転による経営統合(2009年12月28日提出)
http://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1264192/000095012309073478/k02131fv4.htm

以上

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