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化学セクターのM&A機会
株式会社アミダスパートナーズ
2013/7/1

1. 化学セクターの概要

  • 化学産業は、原材料を始点とし、誘導体、中間材、一次製品、最終製品までの長いバリューチェーンから成り立っており、化学セクターに属する企業はその一部を担う企業からほぼ全体をカバーする企業まで様々な規模の企業が含まれています。また、化学産業の製品の用途は輸送機器や電子・情報機器から化粧品等の日用品まで多岐に亘り、同セクターに属する企業の業態も様々です。また各種素材を各種製造業に供給する立場にあることから、日本のモノづくりの根幹を支える極めて重要な産業でもあります。
  • 東京証券取引所の33業種分類では、東証一部上場企業のうち化学セクターに属する企業数は126社であり、小売業、電気機器、卸売業に続いて、4番目に企業数の多いセクターとなっています。
  • 東洋経済新報社では主な収益を上げている事業に基づいて東証33業種分類を更に細分化した企業分類を作成しています。同社の分類に従うと、化学セクターに属する企業のうち64.3%が中分類「化学」に該当し、その企業群を細分類で区分するとその23.5%が総合化学メーカーを含む細分類「化学」に分類されます。「化学」以外の分類に様々な業種がみられることから、化学セクターには多様な産業に関連する企業が含まれていることが見て取れます。

化学セクターの概要
出所:東洋経済新報社HPよりアミダス作成

2. セクター企業概観

  • 総合化学メーカーと呼ばれる日本の化学大手は、原材料から中間体、最終製品までを手掛けています。顧客となる企業の業種も多岐に亘り、国内の化学セクターの中では大きな存在感を有しますが、上述の細分類「化学」内で比較すると収益性は必ずしも高くありません。これは海外の競業者がより大きな事業規模を有しており、厳しい競争環境の中にあることが一因です。
  • 上述のように化学セクターはすそ野が広い産業であり、企業の事業規模ではなく、ターゲット市場で自己の競争優位性を確立できた企業が高い収益性を実現しています。下記のサブセクターについて売上高の規模とEBITDA / 売上高の比率をプロットすると下記の通り、事業規模と収益性の間に正の相関性を見出すことは難しいことから、個別企業の事業ポートフォリオや事業戦略といったファクターが収益性に影響していることが窺えます。

セクター企業概観
出所:各社決算資料

3. M&Aの動向

  • 化学セクターでは2000年以降継続して年間40件以上のIn-In案件が公表されており、同セクターは最もM&Aが盛んなセクターの一つと言えます。2005年には三菱化学による三菱ウェルファーマの共同持ち株会社化による経営統合(2,000億円)、及び花王等のコンソーシアムによるカネボウ・カネボウ化粧品の買収(4,400億円)の大型M&A案件があった為にIn-In市場の取引額が増加しています。
    M&Aの動向1
    出所:レコフM&Aデータベースよりアミダス作成
  • In-outマーケットでも化学セクター企業が買い手となる案件が年間約20件のペースで公表されており、2010年以降は案件数及び取引額が従前より高い水準で推移しています。
    M&Aの動向2
    出所:レコフM&Aデータベースよりアミダス作成

4. 想定されるM&A機会

  • 化学セクターは大掛かりなプラント等の製造設備を必要とする一方で、競業者との差別化の為にたゆまぬR&Dが欠かせないセクターでもあります。従前通り内生的なR&Dは、今後も化学セクター企業にとって重要な活動であり続けると考えられますが、外部で研究・開発された技術をM&Aによって取り込む動きは継続的に発生すると考えられます。
  • また、近年、輸送機器や電子機器の製造業者は、国内市場の構造的な縮小と相対的に日本の人件費が高いことから、海外へと生産拠点を移しています。これに伴い現地での原材料・部材の生産ニーズが高まっており、これらの企業を顧客とする化学セクター企業においても海外生産拠点の拡充が求められていると考えられます。自己の資本を有効に活用するために現地企業とのJVの組成や、その様なJVの株式の売買による共同事業の解消等と言った案件が今以上に増加することが予想されます。
  • また、海外の競業者との競争に打ち勝つために、国内の総合化学メーカーを中心とした合従連衡が起こる可能性も想定されます。この場合には、一つのアライアンスが誕生することで、残りの企業がアライアンスを形成する動きが速やかに起こると考えられ、ダイナミックな化学セクターの再編につながると想定されます。

以上

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