コラム

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企業再生支援機構と産業革新機構
株式会社アミダスパートナーズ
2012/2/1

1.はじめに

 今回のコラムにおいては、株式会社企業再生支援機構様(以下、「ETIC」)と株式会社産業革新機構様(以下、「INCJ」)について、取り上げさせていただきます。

 ETICは、昨年の10月をもって、発足から2年が経過したことで、支援決定期間が終了*しました。この間、21案件の支援決定を行っています。一方、INCJもこれまで17件の投資案件実行と3つの会社・ファンドの設立をしています。本コラムでは、ETICの支援決定期間の終了を踏まえ、両社の設立趣旨や投資実績等を整理しておきたいと思います。

 ※ただし、機構があらかじめ主務大臣の認可を受けた事業者に対しては、今年4月まで支援を行うことが出来ます。また、現在政府が、業務期間を1年延長する方向で、関連法の改正を準備しているとの報道があります。

2.ETIC(Enterprise Turnaround Initiative Corporation of Japan)

 ETICは、平成21年の10月に、「地域における総合的な経済力の向上を通じて地域経済の再建を図り、併せてこれにより地域の基盤強化にも資するようにするため、金融機関、地方公共団体等と連携しつつ、有用な経営資源を有しながら過大な債務を負っている中堅企業者、中小企業者その他の事業者に対して金融機関が有する債権の買取りその他の業務を通じてその事業の再生を支援することを目的」(株式会社企業再生支援機構法第1条)として設立されました。資本金は、約201億円(政府と金融機関が預金保険機構経由等でそれぞれ出資)、事業資金は市中から政府保証付きで(平成23年度予算では、保証上限3兆円)借り入れを行うことで対応。設立から5年で業務終了、設立から原則2年以内に支援決定をし、決定から原則3年以内に支援終了することになっています。主務大臣は、内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、厚生労働大臣、経済産業大臣です。

 平成22年1月の日本航空様他2社の支援決定から昨年12月のダイマル様他2社の支援決定まで、21件(表1ご参照)の支援決定を行っています。

(表1)
表1 企業再生支援機構(ETIC)の支援実績

 投資案件の中で、日本航空様が非常に注目されましたが、ウイルコム様、アーク様などの事業再生支援や病院経営への支援や漁業支援など、地域経済の再建、支援の案件もあり、幅広く検討をされたことが伺えます。惜しむべきは、支援決定期間が2年という短い期間であったことです。対象事業者と主要な取引金融機関の連名による申し込みという制度設計上の制約や金融円滑化法(略称)による不良債権の先延ばし、そして昨年の大震災などもあり、もう少し期間があれば、より多くの支援が決定されたのではないかと思います。また、政府と地方のあり方の議論が活発化する中で、ETICの活躍の場はこれからではと思うところもあります。現在、1年間延長をする方向で、関連法の改正案が準備されていると聞いております。是非、改正案が通ることを期待したいと思います。ともあれ、再生は投資決定してからがスタートかと思います。今後、日本航空様を始め、投資先企業の再生を確固たるものとし、ETICで蓄積されたノウハウや人的なネットワークが、今後の日本経済再生、地域経済再生に資することを望みます。

3.INCJ(Innovation Network Corporation of Japan)

 INCJは、産業や組織の壁を超えた“オープンイノベーション”の考えに基づき、新たな付加価値を創出する革新性を有する事業に対して「中長期の産業資本」を提供すると同時に、取締役派遣などを通じた経営参加型支援を実践し、企業価値の向上を全面的に支援することを目的としています。産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法(平成11年法律第131号)(平成21年改正)を根拠法として、平成21年7月に設立されました。出資金は、政府と民間を合わせて約1,000億円(政府約90%、民間約10%)、政府保証枠8,000億円で、最大9,000億円までの出資が可能となっています。平成21年7月27日に営業を開始し、長期的な事業成長を支援するため、15年の運営期間を設定しています。また、財務戦略として、15年という長期的視野に立ったリターンの追求を目指し、レバレッジも含めた資本的価値の最大化に傾きがちなIRRよりも、投資事業の価値最大化につながる投資倍率(Multiple)を重視しています。これまで、ジャパンディスプレイ(東芝様・日立製作所様、ソニー様の中小型ディスプレイ事業の統合)など17件(表2ご参照)の支援実行と3つの会社・ファンドの設立をしています。

(表2)
表2 産業革新機構(INCJ)の支援実績

 INCJは、その投資実績からも伺えるように、カーブアウト案件、ベンチャー案件、インフラプロジェクト投資、そして知財ファンドの設立と非常に幅広く対応をしています。このことは、日本の産業が置かれている現状の中で、様々な問題が解決されずに残ってきてしまったことを意味していると思います。例えば、同一産業内での国内競争での疲弊、そのことによるグローバルマーケットでの競争力の低下、大胆な再編による海外マーケットへのチャレンジ不足、ベンチャーやインフラプロジェクトへのリスクを取る投資家・金融機関の不在、有用な知財があるにもかかわらずそれが有効に発揮されない大学など研究機関と産業界との関係。INCJは、これらの問題を解決する為の資金、人材を提供するとともに、外部団体との連携(東京都水道局など)やオープンイノベーション・プラットフォームのコーディネートなども行っています。これらの取組が定着し、また様々な投資案件での事例が、より多くの日本企業への参考となり、日本産業が近い将来、更に力強く発展することが出来ればと思います。弊社もその一助になっていきたいと思っております。

以上

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