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国内企業によるM&A積極化の流れについて
株式会社アミダスパートナーズ
2011/12/1

1.はじめに

 日本においてM&A件数が年間1千件を突破したのは平成11年ですが、その後も年々増加し平成16年には年間2千件を超えています。その後平成20年までの5年間は年間2千件以上の高い水準にありましたが、その後年々減少傾向となっており、今年の前半についても前年同期比で減少しています(表1ご参照)。然し乍ら、各企業に加えてファンドや金融機関などの動きを見ていますと、今後は反転してM&A件数が増加していくのではないかと感じており、今年前半の件数減少は震災による影響によるものと考えています。

 約半年前になりますが、今年の7月6日付の日経新聞に「M&A枠を設定している主な企業」26社のリストが掲載されました。これを見ると、機械製造/化学品製造/食品その他サービスの大手企業が並び、設定枠の総額で5兆円を超える規模となっています(表2ご参照)。これを追いかけるように、政府サイドでも国際協力銀行がメガバンク3行との間で430億ドルのM&A向けクレジットラインの設定に向けた一般協定を締結する等、官民が足並みを揃えてM&A推進に動いている様相を呈しています。

 ここへ来て何故これほどまでにM&Aに注目が集まっているか、これらの動きの背景について考えてみたいと思います。



2.M&A枠設定の背景

 サブプライムローン問題に端を発し、平成20年9月にリーマンショックが起きましたが、これによって世界的に経済が大きな打撃を受けました。その他の要因もいくつかありますが、その後現在に至るまで経済成長が鈍化し低位にて推移しています。加えて足許ではタイが大水害に見舞われ、日系企業の生産拠点が大きな被害を被っており、今後この影響が大きく出てくると思われます。日本においては少子高齢化による若年人口の減少が進み、その先には全体人口の減少が予測されています。そのため消費活動の低下による内需縮小傾向にあり、多くの企業は売上規模の維持拡大が大きな課題となっています。一方、デフレによる価格の下落圧力も売上高減少の要因であり、原材料コストの高騰が企業収益を圧迫しています。

 上記のような経済事情を背景として、大括りで見ると内需の低迷に伴う国内市場の縮小を見越して、国内での市場占有率の向上及び海外市場への更なる進出による売上増を図ろうという動きがあると考えられます。前述のM&A枠設定企業の公表資料等から読み取れる範囲で、枠設定の目的別に区分けすると下記のようになります。

*国内及び海外においてコア事業の拡大を図る。
*既存事業の周辺領域を取込むことにより、競合対比優位性の向上を図る。

 これとは別に、企業の保有資金の有効活用及び、技術革新のスピードが増している側面もM&A積極化の要因として挙げられるのではないかと思われます。リーマンショックの際には、各企業が厚めの調達を行った反面、設備投資等の抑制により手元資金の留保が進む傾向にありました。この潤沢な手元資金を活用して企業の成長を図り、株主への還元を推進するためには、通常の設備投資による展開ではスピード感に劣ることから、M&Aという選択肢が改めて注目されてきたとも言えるのではないでしょうか。

 これは、M&A枠を設定している企業のみならず、その他のM&Aに積極的であると見られる企業においても同様のことが言えると思われます。平成23年3月末時点における上場企業3,618社のうち、前述のM&A枠設定企業28社を除く131社が、中期経営計画等の公表資料において程度の差はあれ「M&Aに積極的」と見られる表記をしています(次項表3ご参照)。M&A枠設定の28社を加えても、M&Aに積極的な企業が全体に占める率としては4%弱程度ですが、これほどまでに企業がM&Aを積極的に検討し、外部に対して公表する動きはこれまでにはなかったと思います。

3.その他M&Aに積極的な企業

 前述のM&Aに積極的であると見てとれる企業131社の内訳は下記の通りです。



 上表の企業は、M&A枠を設定している企業と比較すると、全てとは言えないものの売上規模的には中堅規模の企業が多く、海外との競争に加えて国内での競争も大きな関心であるように見受けられます。これらの企業は、M&A枠設定企業と同様の目的も持っていますが、それに加えて既存の非主力事業の強化を含め、新たな事業を取込んで収益基盤の安定化を狙うことも積極的に検討しているようです。

 特徴的な点は、これらの企業はオーナー系企業が多く意思決定のプロセスが比較的シンプルだと思われ、一旦M&Aに対して積極的に舵を切ったからには、かなり早いスピードで推進していくのではないかと考えられます。

4.今後の見通し

 さて、M&Aに積極的(枠設定企業も含む)と見られる企業は、そもそもM&Aという選択肢を選んだ背景からして相当早い動きになっていくであろうと考えられます。ただ、昨年末から徐々に増加するであろうと見られたところへ3月の震災があり、M&Aの案件推移で見ると前年同期では昨年対比若干減少していますが、夏以降に大型のM&Aがいくつか公表されるなど、震災によって一次中断されていたとみられる案件がクローズし始めており、震災その他による損失を埋めることを狙った動きも加わって、今後年末から来年3月にかけて徐々に動きが加速するものと考えられます。

 M&Aが活発に行われるような状況においては、弊社のようなアドバイザーが関与させて頂く機会も増加すると思われますが、M&Aの結果が当該社のみならず経済全体の流れにも大きく影響していくであろうことを考えると、当然のことではありますが、弊社としてはクライアント様の実態把握に努め、同時にクライアント様のご方針を良く理解し、M&A取組後の成長が十分に期待出来る案件にしていくことが一層重要であると考えています。

以上

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