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MBO事例について(4)-第三者委員会の実務動向について-
株式会社アミダスパートナーズ
2011/3/1

1. はじめに

 前回のコラム(2010年12月1日掲載)では、近時のMBO取引事例の傾向や実務動向として、MBO取引の意思決定における恣意性を排除するひとつの手段として設置されている第三者委員会の重要性が高まっていることに触れた。
 今回は、それら第三者委員会が、実務においてどのように取り扱われ、また具体的にどのように実施されているかについての考察を行う。

2. 第三者委員会について

(1)第三者委員会の設置状況

 2001年1月から2011年2月までの10年間におけるMBO取引において、第三者委員会が設置された事例は、対象案件92件中27件となっているが、いずれもMBO指針(*1)が公表された2007年9月4日以降においての事例となっている。
 特に、レックス・ホールディングス事件高裁判決(*2)以降は、44件中23件とその傾向は強まっており、直近1年間における案件においては、19件中16件と大半の案件において設置されており、かなり定着していることが分かる。

(2)第三者委員会の構成

 別表は、2001年以降のMBO取引における第三者委員会が設置された事例について、第三者委員会の構成及び検討内容について纏めたもの(*3)である。
 第三者委員会は、会社法上の根拠のない機関であるため、委員としては、株主に対して直接責任を負う立場にある社外監査役を軸とし、実質的な独立性と高度な専門性を有する社外有識者を組み合わせて構成することが合理的な方法である(*4)とも考えられ、実際の第三者委員会の構成メンバーをみると、社外監査役を中心に、弁護士、公認会計士等の外部有識者を加えた、3名程度で構成するケースが最も多く、現在においては一般化された形態であることが見て取れる。

 第三者委員会は、対象会社におけるMBO取引の検討が開始される時期とほぼ同時期に設置され、MBO取引の検討段階から取締役会に対する答申等を行うまでの間に、複数回開催されており、なかには10回以上開催されているものや、期間が非常に長期間に渡り設置されている事例もある。

(3)第三者委員会の検討内容

 第三者委員会における検討内容をみると、多くの事例において、MBO指針が「MBOを行う上での尊重されるべき原則」として求めている「企業価値の向上」及び「公正な手続を通じた株主利益への配慮」の観点から、意義・目的の正当性、手続の公正性、取引価格の妥当性に関する検討が行われていることが分かる。
 特に、取引価格の妥当性の検討については、レックスHD事件高裁判決以降に定着したことが見て取れる。

 取引価格の妥当性の検討に際しての手続をみると、対象会社が取得した株式価値算定書に基づき検証している事例が多いが、直近の2事例においては、第三者委員会が自らのために外部アドバイザーを選任し株式価値算定書を取得するケース(*5)や、第三者委員会自ら株式価値算定を行うケース(*6)もあり、さらに、両事例ともに、株式価値算定の基礎となる対象会社事業計画についての検証を行うなど、価格の妥当性に関し、より厳格な検証が行われている。

 なお、直近の3事例においては、第三者委員会が買付者との取引価格や条件に係る交渉・協議を行っており、今後、公正な手続を通じた価格の妥当性の確保がより強化されていく可能性がある。

*1 経済産業省「企業価値の向上及び公正な手続き確保のための経営者による企業買収(MBO)に関する指針」(2007年9月4日)。
*2 レックス・ホールディングス事件東京高裁判決:東京地平成19年12月19日判例事項2001号109頁。以下、レックスHD事件高裁判決。
*3 別表は、対象会社が発表したプレスリリース書面に基づき、①「第三者委員会の状況」は、委員構成や設置状況を、②「第三者委員会における検討内容」は、「応募推奨の是非」、「意義・目的の正当性」、「手続の公正性」、「取引価格の妥当性」及び「その他」に分類し、答申内容又は答申作成に際して行った検討内容を、③「第三者委員会が実施した検討のための手続」は、具体的な手続を検討目的別に分類して纏めている。なお、別表における記載内容は、プレスリリース書面の内容を弊社が独自に判断・分類し作成したものであって、事実と必ずしも合致していない可能性がある点に留意されたい。
*4 企業価値研究会「企業価値報告書(2007年5月27日)」及び、経済産業省・法務省「企業価値・株主共同利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針(2007年5月27日)」は、社外取締役と社外監査役について、買収防衛策の発動を判断する独立社外者としての適性を論じている。
*5 2011年2月3日発表のカルチュア・コンビニエンス・クラブ
*6 2011年2月4日発表のアートコーポレーション

3. 最後に

 このように買い手となる経営陣と株主の間に構造的な利益相反関係が生じるMBO取引において、第三者委員会の対応事項はより高度に、広範な範囲に渡っており、付与される権限も大きくなっている。今後もその重要性は高まっていくものと思われるが、その権限と責任についても変化していくものと考えられる。

第三者委員会等が設置されたMBO事例 (69KB)

以上

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